[ 政治・経済 ]
(2018/3/20 15:00)
貿易戦争望まず
中国の李克強首相は20日、製造業を含めて中国経済の開放をさらに進める方針を示すとともに、貿易戦争を望んでいないとあらためて表明した。
李首相は全国人民代表大会(全人代)の閉幕に合わせて開いた記者会見で、「貿易戦争に勝者はいない。交渉や協議、対話に基づく貿易ルールに反する」と指摘。中国はバランスの取れた貿易を望んでおり、米国がテクノロジー輸出規制を緩和するよう希望すると述べた。
事情に詳しい関係者2人によると、トランプ米政権は中国による米企業の知的財産権侵害に対する制裁措置として、中国製品を対象とする輸入関税適用を計画しており、週内にも発表する見通し。最大600億ドル(約6兆4000億円)規模になるという。
李首相は「中国経済は世界経済と密接につながっており、その門戸を閉ざすことは中国自身の道を閉ざすに等しい」と説明。輸入関税引き下げと減税を実施する考えを示した。中国は製造業を一段と開放する過程で外国企業に技術移転を強制せず、知的財産を守ると表明した。
また、同首相は「われわれには開放の余地と潜在力がなお大きい」と指摘。「輸入品に対する税率は国際的な基準に照らせば中間レベルにある。中国は輸入品に対する全体の税の水準をさらに下げていく」と語った。開放は段階的なプロセスとなり、中国の貿易黒字に影響があるかもしれないが、払うに値する代償だとの認識を示した。
李首相は、中国経済はこの5年にわたり妥当なレンジで推移する一方、6000万人分を上回る雇用を生んだと説明。今年は1300万人の新規雇用創出を目指すと述べた。(ブルームバーグ)
(2018/3/20 15:00)