[ 金融・商況 ]

【電子版】米FOMCが利上げ決定、今年3回の予想回数維持

(2018/3/22 08:00)

  • FRBによる2018年(白)と19年(青)のGDP成長率予測。これまでの予測を上方修正している(ブルームバーグ)

(ブルームバーグ)米連邦公開市場委員会(FOMC)は20、21両日の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1.5-1.75%のレンジに引き上げることを決定した。経済見通しの改善を理由に、2019-20年の予想金利軌道の傾斜を強めた。ただ、今年の利上げに関しては合計3回との予測を維持した。今回はパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で初会合となった。

声明は「経済見通しはこの数カ月に力強さを増した」と指摘。「金融政策スタンスのさらなる漸進的な調整」を予想する文言を維持した。

来年以降の予想利上げ回数の上方修正で、第1四半期の経済指標は軟調なものの、昨年12月に議会共和党が通過させた減税で今年と来年の景気が浮揚されると金融当局者がみていることがうかがえる。

パウエル議長は イエレン前議長よりもやや短めとなった記者会見で、「雇用市場は引き続き強く、景気拡大は続いている。インフレ率はFOMCの長期的な目標である2%に向かっているようだ」と話した。定例会合後の記者会見の回数増加については「慎重に検討する」と述べ、それが政策の行方に対するどのような示唆にもならないことを確実にしたい考えを示した。

今回の利上げは賛成8、反対ゼロの全会一致での決定だった。

今回の経済予測は今年の利上げ回数を巡って当局者の間で意見が分かれていることを示している。7人の当局者が4回以上の利上げが適切になると予測しているのに対し、8人は3回以下が適切だとみている。

パウエル議長は緩やかな利上げ計画を擁護。景気見通しについては全般に明るい見解を示したが、トランプ政権の貿易政策が企業にとって懸念事項になっていると指摘した。

2019年末時点のFF金利予測の中央値は2.9%と、来年3回の利上げを示唆しており、昨年12月時点の予想である2回から増えた。2020年については3.4%と、12月の3.1%から上昇した。

ブルームバーグ・エコノミクス、カール・ リカドンナ、エレーナ・シュルヤティエバ両氏は「パウエル議長はイエレン前議長下のFOMCを継承するという重要なシグナルを示した。金利に『さらなる漸進的な調整』を加えると強調した文言はイエレン前議長の最後の会合からの継続だ。最新のドット・プロット(金利予測分布図)は今年3回の利上げがなお中央値になっていることを示している。ただ、当局者の分布状況からは4回利上げの可能性に当局者が目移りしつつあることがうかがえる」と述べた。

FOMCは前年比ベースでのインフレ率について「今後数カ月に上昇すると見込まれる」と指摘。1月の声明での「今年上昇すると見込まれる」から変更した。ただ、中期的には目標である2%程度で安定するとの見通しは維持した。

インフレ目標の基準である個人消費支出(PCE)価格指数の伸び率は1月に前年同月比1.7%。当局は19年に2%に上昇すると予想し、20年には2.1%まで上昇するとの見通しを示した。食品とエネルギーを除くベースの予想は19年と20年がともに2.1%と、12月時点の予測である2%から引き上げられた。

FOMCは「雇用の伸びはこの数カ月力強く、失業率は低水準にとどまっている」と指摘。家計支出と企業設備投資の伸びについては、力強かった昨年第4四半期に比べ「緩慢になってきた」との見方を示した。

声明は「経済見通しへの短期的なリスクはおおよそ均衡しているように見受けられる」との文言を維持した。

今年の経済成長率予測は2.7%と、前回12月の2.5%から上昇。2019年については前回の2.1%から2.4%に上方修正された。

長期的に持続可能な成長率は前回から変わらずの1.8%。2020年の成長率予測も前回と同じ2%だった。

失業率は4.1%と、2000年以来の低水準にあるが、賃金の伸びは依然として緩やかで、インフレ率も過去5年間にわたり一時期を除いて目標水準を下回っている。

FF金利誘導目標の長期予測の中央値は2.9%と、前回の2.8%から上昇。失業率の長期予測は前回の4.6%から4.5%に低下した。

原題: Fed Lifts Rates, Steepens Path Through 2020 for More Hikes (2)(抜粋)

(2018/3/22 08:00)

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