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[ 環境・エネルギー ]
(2018/3/26 08:00)
東京電力福島第一原発事故後、放射線の分布状況を把握するため日本原子力研究開発機構(JAEA)が運用してきた無人ヘリが、機器の寿命を迎え、19日に引退した。原発5キロメートル圏内の調査を一手に担い、原子力規制委員会が毎年公開している放射線量分布マップの作成に大きく貢献した。
無人ヘリはヤマハ発動機製で、事故直後の2011年4月に導入。原発から80キロメートル圏の調査は航空機で行うが、より精度の高いデータ収集が必要な原発周辺では、低空飛行できる性能が求められた。
12年12月には第一原発の真上を飛び、線量を測定した。JAEA福島環境安全センターのグループリーダー真田幸尚さん(42)によると、入念に準備し、原発の北と南の高台で、防護服に身を包んだ担当者が操縦に当たった。落下事故は許されず、緊迫した空気があったという。真田さんは「それまで原発上空の線量は不明で、測定結果が航空機の空路制限解除につながった」と振り返る。
13年6月には、同県双葉町で墜落事故が起きた。着陸のため自動操縦から手動操縦に切り替える際にミスしたという。反省を生かし、運用マニュアルを改善するなどした。
ラストフライトとなった19日は、同県大熊町で、従来より高精度な放射線検出器を積んだ実証実験を行った。真田さんは「7年間、測定に貢献してくれた。今後の技術確立にもつながった」とねぎらう。来年度以降の測定は新型機が引き継ぎ、初代のヘリは4月から県環境創造センターに展示される予定だ。(時事)
(2018/3/26 08:00)