- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2018/3/29 14:00)
「NGC1052」と近接する銀河「DF2」は猛烈な速度で拡散しているため、その後ろに存在する遠くの銀河をはっきりと確認することができる。暗黒物質のすべてではないにしても、そのほとんどが存在しないと結論づけた(ハッブル宇宙望遠鏡で撮影、写真提供:NASA、ESA、P. van Dokkum [エール大学])
くじら座の方向に約6500万光年離れた銀河には、恒星の材料となる水素などのガスを重力で密集させる「暗黒物質」がほとんど含まれていないことが分かった。米エール大などの欧米チームがハワイの大型望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡による観測で発見した。論文は29日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。
暗黒物質は宇宙全体の質量の約4分の1を占めるが、正体は解明されていない。銀河を構成する星々は暗黒物質の作用で誕生すると考えられており、暗黒物質が少ない場合は銀河がどのように形成されたかが謎となる。
この銀河「DF2」の大きさは、太陽系を含む天の川銀河とほぼ同じだが、恒星の数は200分の1程度しかない。研究チームは銀河の中心をゆっくりと回る恒星集団の動きから質量を計算し、暗黒物質がほとんどないと結論付けた。
DF2の近くには、活発に星々が誕生している大型銀河「NGC1052」がある。過去に銀河同士が合体してできた際、近くに放出されたガスからDF2が形成された可能性などが考えられるという。(時事)
(2018/3/29 14:00)