[ オピニオン ]
(2018/4/13 05:00)
商用車の再編でも日本勢が主役でいたい。そのためには世界をリードする技術力が必要だ。
日野自動車と独フォルクスワーゲン(VW)による戦略提携は、トヨタ自動車とVWという世界の自動車業界のツートップの間に、新たな関係が生じたことになる。これが将来の世界再編の新たな動きの第一歩となる可能性もある。
日系商用車メーカーをよく知るVWのアンドレアス・レンシュラー商用車部門最高経営責任者(CEO)の秘策との見方もある。かつて独ダイムラーのトラック部門を率い、傘下の三菱ふそうトラック・バスを軸にアジアやインド市場を開拓。ハイブリッド車(HV)開発も中心的役割を三菱ふそうに担わせた。
レンシュラーCEOは日野について「特にアジアで強い存在感を示す」と分析。主たる技術協力領域を「パワートレーン」とし、電動化やHVに言及した。これはダイムラーグループにおける三菱ふそうの位置付けと重なる。違うのは支配関係で無く、戦略提携という点。急速な技術変化への対応を重視した。
商用車はまだディーゼルエンジンが主流だ。しかし、欧州での市場縮小の方向性は避けられず、VWグループとして既存パワートレーンへの投資を抑えたいのが実情だ。一方、アジアや新興国の商用車市場ではディーゼルが主役を張る。日野がVWにエンジンを供給できれば量産効果は大きい。電動化を見据えバッテリー共用も当然視野だ。
共通の敵は中国勢の存在だ。商用車市場は気候や地形など地域に合わせた開発が不可欠。このため日米欧メーカーは実質的に市場を棲み分ける形になっていたが、中国メーカーが力を付け、シェア構造は変わり始めた。今後、隊列走行や自動運転車が登場すると、ハード(車両)の価値が相対的に低下し、安価な中国製に流れかねない。
この提携を成功させるカギは、日野自がみずから世界と戦える技術力を獲得することだろう。提携をきっかけに、トヨタグループの技術シーズも活用し、世界から求められるメーカーへとステップアップしてほしい。
(2018/4/13 05:00)
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