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[ 化学・金属・繊維 ]
(2018/4/20 14:30)
経産省が生産影響を調査開始
トランプ米大統領によるロシアへの追加制裁の影響が日本のアルミニウム業界にも波及している。アルミ地金の生産を手掛けるUCルサールに対する制裁を受けて、同社からの地金輸入が事実上停止した状態にあるためだ。経済産業省は国内のアルミ圧延メーカーなどを対象に、生産への影響について聞き取り調査を始めた。
米財務省は6日、ロシアのプーチン大統領に近い新興財閥の資本家7人と、その関連企業12社などを新たに制裁対象に加えると発表した。そのうちの1社がロシア富豪オレグ・デリパスカ氏が率いるルサールだ。制裁によって米国企業との取引が禁止され、世界貿易の取引の中心であるドル経済圏から締め出される形となった。
ドル決済できないことに加え、ルサールが米国の制裁対象となったことで、同社と取引のある日本企業は取引の一時的な停止を迫られているもようだ。ルサールから地金を輸入している日本企業の担当者は匿名で、今のところ打つ手が見当たらないとしてオーストラリアや中東などからの代替調達を検討していると話す。
経産省の小見山康二・金属課長は「メーカーの調達の状況を確認して、どのくらい影響が生じているのか調査をしている」と述べた。
日本はアルミ地金を全量海外から輸入しており、アルミ圧延品メーカーが、飲料缶や自動車部品などに使用されるアルミ板などを生産している。原料である地金の調達に影響が出てくれば、製缶メーカーや自動車メーカーなどにも波及する恐れもある。
カピタル・アセット・マネジメント(モスクワ)の資産運用者、バディム・ビットアブラギム氏は「今や、どのロシア企業も制裁リスクを抱えていると投資家は懸念している」と指摘する。
日本アルミニウム協会によると、2017年のアルミ地金の輸入量は195万トン。そのうちロシアからの輸入量は約30万トンと全体の16%を占め、豪州に次ぐ2番目の輸入先だ。
調査会社CRUによると、中国を除いたアルミ地金の世界消費量に占めるルサールの供給量は13%と最大。供給懸念から18日のロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場(3カ月物)は一時、1トン当たり2559ドルまで上昇。11年8月以来となる6年8カ月ぶりの高値を付けた。(ブルームバーグ)
(2018/4/20 14:30)