[ ICT ]
(2018/4/21 07:00)
【上海時事】米政府が国内企業に対し、中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)への部品やソフトウエア販売を禁止したことに、中国の産業界では「アキレスけんが狙い撃ちされた」との懸念が広がっている。
新エネルギー車や人工知能(AI)、5G(第5世代移動通信)など、一部ハイテク産業で世界の先頭集団に加わる中国だが、高性能半導体や専用ソフトウエアなど、その核心部は米国などに依存している実態が改めて浮き彫りになった。
米政府の決定を受け、深セン証券取引所に上場するZTE株は直ちに、取引停止措置が講じられた。ZTE製の通信設備には、米国企業の高性能半導体などが使われており、供給が途絶えると、事業そのものが成り立たなくなる。
中国メディアによると、ZTEは1~2カ月の部品在庫を抱えているものの、「米国の制裁措置が見直されない限り、数カ月以内に経営破綻する恐れも否定できない」との見方も浮上。ネット上では事態打開に向け、経営陣が米国に向かったとの情報も流れている。
中国紙、毎日経済新聞によると、川財証券の調査では、中国の半導体需要は世界全体の50%、一部製品では70~80%を占めるが、自給率は8%にとどまる。国産化した半導体も中低レベル品にとどまり、半導体部材や高性能半導体は輸入に依存した状態だ。
国家統計局によると、2017年の中国の集積回路輸入額は前年比14.6%増の2601億4000万ドル。輸出は9.8%増の668億8000万ドルと、大幅な赤字となっている。
中国紙によると、今回の米政府の措置について、国内では「貿易摩擦が激化する中、交渉を有利に進めるための材料にされた」との見方や、「産業発展の勢いに脅威を感じた米国が、本格的につぶしにかかった」との懸念が浮上している。
毎日経済新聞によると、中金証券の調査では、ZTE製通信設備の世界シェアは約10%、中国では約30%を占める。華為科技(ファーウェイ)と並んで、5G関連の技術を急速に向上させていることも、米政府に狙われた理由の一つではないかとの見方も出ている。
(2018/4/21 07:00)