[ 政治・経済 ]
(2018/5/19 18:00)
政府は18日、トランプ米政権が発動した鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限をめぐり、対抗措置を講じる意向を世界貿易機関(WTO)に通知した。米国から輸入制限の適用除外を引き出すのが狙い。日米両政府が6月中旬にも始める新たな貿易協議でも輸入制限問題が重要議題となりそうだ。
日本の米国向け鉄鋼・アルミ輸出額は、年間約20億ドル(約2200億円)に上る。日本は米国の輸入制限による負担額を約500億円と試算し、米国製品に対する同額の追加関税を検討する。
ただ、日本としては「報復の応酬は回避したい」(政府関係者)との立場。今回の通知では対抗措置の対象となる具体的な品目や関税率の提示は見送った。発動には改めてWTOに品目などを通知し、30日間の経過期間を置く必要がある。経済産業省は「米国の措置、日本企業への影響を踏まえ適切に判断する」と表明した。
米国は3月、安全保障上の脅威を理由に、日本を含む多くの国・地域の鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を適用した。一方、日本は「日本製品は米国にとって安全保障上の脅威ではない」と訴え、適用除外を求めてきたが、米国は応じていない。
日米は4月の首脳会談で新たな貿易協議を2国間で開始することに合意した。米国は今後の協議で、輸入制限の適用除外と引き換えに、対日貿易赤字の削減を迫ることが予想される。日本はWTO協定に基づく対抗措置をちらつかせて、米国の一方的な要求をけん制したい考えとみられる。(時事)
EU、インドも対抗措置 対米圧力で足並み
【ロンドン=時事】欧州連合(EU)とインドは18日、トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウム輸入制限への対抗措置を世界貿易機関(WTO)にそれぞれ通知した。米国が譲歩しなければ、6月20日ごろにも発動に踏み切る可能性をちらつかせている。
日本も対抗措置を講じる意向をWTOに伝えており、トランプ氏の翻意を促そうと、対米圧力で足並みをそろえる形となった。EUは6月1日まで輸入制限の適用を除外されているが、その後は不透明で、危機感を募らせている。
WTOによると、EUは米輸入制限に伴う負担を年間16億ドル(約1770億円)、インドは約1億7000万ドルと試算。これに見合った関税を米国製品に課す構えを示した。
EUは課税対象リストに米特産品のバーボンウイスキーやオートバイ、ジーンズ、オレンジジュースなどを盛り込んだ。
(2018/5/19 18:00)