[ オピニオン ]
(2018/6/7 05:00)
日米欧の主要7カ国(G7)は、世界経済の先行きに不安が募るなか、これ以上の結束が揺らぐ事態を避け、協調体制を再構築してほしい。
G7サミットが8、9日の両日、カナダ・シャルルボワで開かれる。世界経済は底堅い回復を維持しているものの、貿易戦争の打撃を吸収できるほどの力強さは感じられない。G7はもともと自由貿易や民主主義などの価値を共有する国で結束し、台頭する中国やロシアに対抗する枠組みだ。米国が保護主義を色濃くし7カ国の足並みが乱れれば、G7の対抗力は弱まることになりかねない。
今回のサミットは、『G6プラス1』と揶揄(やゆ)される。さきにカナダで開かれた主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議では、通商政策をめぐり、深刻な対立を示した。しかし、対立が深まれば深まるほど、「漁夫の利」を得るのは、既存の国際秩序に挑む中国など新興国だ。
世界秩序は今、大きな転換期を迎えている。それは中国が世界秩序に対し、独自の価値観に基づく新しい秩序づくりに着手する姿勢を示していることだ。
米国や欧州は、これまで中国を国際市場に受け入れ、経済的発展を支援すれば、やがて民主化が進んで、自由と民主主義を基盤とする世界秩序に同化していくと考えてきた。しかし、中国政府は自国市場を閉ざしたまま、自国企業の海外市場への進出を強力に支援し経済成長を遂げる一方で、国内では民主的な動きを警戒し国民に対する言論統制を強めて、軍備の近代化と増強を進めている。
習近平国家主席は3月の全国人民代表大会で、21世紀半ばまでに世界一流の軍事力を備えた「社会主義現代化強国」と「一帯一路」による中国主導の「人類運命共同体」を打ち出した。
中国の姿勢は、既存の「自由貿易・民主主義」を軸とする世界秩序への挑戦だ。権威主義的な価値観に基づく独自システムを横行させてはならない。
世界秩序を守るという大きな視点から日米欧の協調体制を再構築するという各国首脳の気構えが必要だ。
(2018/6/7 05:00)
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