[ オピニオン ]
(2018/6/6 05:00)
環境省は5日、環境白書を公表した。4月に閣議決定した第5次環境基本計画の「健全な物質・生命の循環を実現するとともに地域間の共生を図り低炭素を実現する持続可能な社会」という趣旨を受け、「地域循環共生圏の創出による持続可能な地域づくり」をテーマとした。
地域循環共生圏とは「各地域が特性を生かし、資源循環する自立・分散型の社会を形成しつつ近隣地域と共生し、広域的なネットワークで地域資源を補完して支え合う」ことと定義。地域循環共生圏が環境・経済・社会が統合的に向上した持続可能な地域を実現するとしている。
白書は地域資源を用いた再生可能エネルギー(再エネ)に着目、再エネ導入が地域のエネルギー収支を改善、地方創生につながるとする。さらに、森林資源を活用した発電と熱供給により、エネルギー代金の地域内循環に取り組んだ北海道下川町や群馬県上野村など再エネで地域興(おこ)しを進める事例を紹介した。
化石燃料による発電は温室効果ガスを排出。原子力発電はひとたび事故が起こると大変な被害をもたらし、原状回復に膨大な費用がかかる。使用済み燃料の処分も難題だ。このため再エネによる電気や熱を地産地消し、地域振興にあてるという白書の主張はもっともだと思う。
ただ、再エネにもいくつか課題がある。太陽光はドイツや米国と比べて約2倍、風力も海外に比べ約1・5倍のコスト。さらに電力会社が再エネ電気の接続を拒む問題もある。コネクト&マネージで、ある程度緩和する方向だ。白書はこのあたりの解決策も提示してほしかった。
経済産業省はエネルギー基本計画見直しで、2030年度に再エネを22―24%とし、原子力も20―22%とする案を示した。だが、原子力などの分をできるだけ取り込み、半分を再エネで賄うべきではないか。不安定電源が増える問題もあるが、水素などによる電力貯蔵でクリアするのが技術の役目だ。ぜひ、再エネ拡大の方向を目指してほしい。それが地域の活力を生み、日本が環境にやさしいエネルギー大国になる道である。
(2018/6/6 05:00)
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