[ 政治・経済 ]
(2018/6/15 13:00)
トランプ米大統領は、約500億ドル(約5兆5300億円)相当の中国からの輸入品に対する制裁関税を承認した。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。経済規模で世界1、2位を占める米中間の貿易摩擦がエスカレートする恐れが強まった。
4月に公表された対中制裁関税の規模も500億ドルだった。このことは、米国が北朝鮮の核プログラムを巡り圧力維持を図る中でも、トランプ大統領は貿易制裁が中国との関係を悪化させる可能性があるとの警告を意に介していないことを示唆する。
事情に詳しい関係者5人はこれより先に、トランプ政権が制裁関税の対象となる中国からの輸入品の詳細なリスト公表を準備しており、中国が世界的なリーダーとなることを目指すハイテク分野に照準を合わせていると述べていた。
ホワイトハウスのサンダース報道官によれば、トランプ大統領は14日のホワイトハウスでの会合で約500億ドルの対中制裁関税について決定を下した。同会合にはムニューシン財務長官とロス商務長官、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表が出席した。同報道官は決定内容の確認を控えた。心臓発作で治療を受けたクドロー国家経済会議(NEC)委員長は参加しなかったという。
米国は4月、500億ドル相当の中国からの輸入品約1300品目の暫定的な関税対象リストを発表した。関係者の1人は、暫定リストから一部品目が除外されたが、新たに加えられた品目はないと話した。正式発表前であることを理由に匿名で明らかにした。
米政府は制裁関税の対象となる中国からの輸入品の最新リストを15日に公表する予定。ホワイトハウスはリスト公表後「近いうちに」発動するとしているが、具体的な期日は設定されていない。
これら関係者の2人によると、関税は段階的に発動される可能性がある。一部の輸入品は数週間内に発動の見通し。USTRのリストに追加された輸入品については、一般からの意見を募る期間を設ける必要がある。
トランプ大統領は今週、貿易を巡り今後数週間の間に中国に「非常に強く」立ち向かうことになるだろうと述べた。トランプ大統領は13日に放送されたFOXニュースとの インタビューで、「われわれが貿易で非常に厳しく対応するため、中国は若干動揺するかもしれない」と発言した。
トランプ政権は、ハイテク産業の育成を目指す中国の行動計画「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」で取り上げられた産業への関税賦課を目指したい考えを示してきた。(ブルームバーグ)
(2018/6/15 13:00)