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[ 科学技術・大学 ]
(2018/6/24 13:30)
重力トラクターや宇宙船衝突で実験も
【ワシントン=時事】米政府はこのほど、地球に衝突する恐れがある小惑星や彗星(すいせい)など地球近傍天体(NEO)への対応方針をまとめた戦略行動計画を公表した。航空宇宙局(NASA)などの探査能力向上に加え、衝突が差し迫った場合、核爆弾を使ってNEOの軌道変更や破壊を試みる研究にも言及している。
ロシアのチェリャビンスク州上空に残る隕石が通った跡(13年2月、EPA時事)
計画は「衝突するNEOが極めて大型だったり、衝突までの時間が短かったりする場合、核爆弾が唯一の有効な選択肢かもしれない」と指摘。核以外に、宇宙空間で強い重力を発生させNEOの軌道を変える「重力トラクター」や、探査用の宇宙船をNEOに衝突させる方法を挙げ、予備的研究を進めると記した。
その上で、そうした方法の有効性を確かめるため「危険性のないNEO」を用いた実験を提唱した。ただし「核爆発技術に関連する実験は、実際の核爆発を伴うものであってはならない」とも強調した。
計画によると、2013年2月にロシア上空で爆発した隕石(いんせき)と同程度の直径20メートルないしそれ以上のNEOは、推定で約1000万個。落下するNEOの直径が1キロメートル超なら、地球規模で深刻な被害をもたらす危険がある。連邦緊急事態管理庁(FEMA)当局者は、米メディアに「可能性は低いが結果は重大で、ある程度の備えは必要だ」と語った。
(2018/6/24 13:30)