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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/7/22 07:00)
【モントリオール、シンガポール=ロイター時事】米国は超音速ジェット機を開発するベンチャー産業を後押しするため、騒音に関して新たな世界基準の設定を求めているものの、厳しい騒音規制を求める欧州諸国の強い抵抗に直面している。文書や複数の関係者によって明らかになった。
従来の超音速旅客機コンコルドが運航を停止してから15年が経過した。米規制当局は、開発段階の超音速機の試験を可能にするため飛行規制の改定を検討しており、2020年代半ばまでに国産ビジネスジェットや小型旅客機を運航させる意向にある。
ただ、関係者5人が匿名を条件にロイター通信に語ったところによると、国際民間航空機関(ICAO)では新たな騒音規制をめぐり、米国がフランスやドイツ、英国を含む欧州諸国と対立している。
騒音をめぐる米欧の対立は、1990年代にも発生した。この時には欧州連合(EU)が騒音レベルが高い米ボーイング727などの空港乗り入れ規制を求め、米政府が報復措置としてコンコルドの締め出しを警告した。
今回の対立は、エリオン・スーパーソニックやブーム・スーパーソニック、スパイク・エアロスペースといったベンチャー企業により、自国主導で超音速機を復活させたい米国の目標と、超音速機が発する破壊的レベルの騒音に対する欧州の不安の間が衝突している格好だ。エリオンは米ロッキード・マーティンやゼネラル・エレクトリック(GE)の支援を受けており、業界筋では超音速機開発の最先端企業とみられている。
関係者の一人は「欧州は政治的な駆け引きで(空港周辺の)騒音に懸念を示す方向にある」と語る半面、「欧州にとっては問題だが、業界の後押しがないため、解決を図る根拠にはならない」と分析した。
米連邦航空局(FAA)は1973年以来、超音速機が陸上上空を飛行することを禁止している。現時点では開発計画の飛行を海上上空に規制しているものの、最終的には米航空宇宙局(NASA)のデータを分析した上で、陸上上空の飛行を認可するか2025年までに判断する見通しだ。
The Next Frontier is Supersonic from Aerion Corporation on Vimeo.
The Future Is Supersonic(Boom Supersonic)
(2018/7/22 07:00)