[ オピニオン ]
(2018/7/26 05:00)
政府は法人の設立手続き簡素化に向け、2018年度から公証人による面前確認をせずにパソコンやスマートフォンでの作業により定款の認証が済ませられるようにし、19年度中にも利用者が全手続きを「オンライン・ワンストップ」で完結できる仕組みを導入する。現状で10日程度かかる登記手続きが、最短1日に短縮される見通しだ。会社設立手続きの簡素化では、起業家に余計な労力やコストをかけさせないという視点が欠かせない。
17年9月に法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会が設置され、18年3月まで8回の会議を開催。デジタル前提の業務の抜本的見直しを議論した。わが国の法人設立は、公証人の面前での定款認証や会社代表者印の書面提出、法人の銀行口座開設時の登記事項証明書の書面提出など必要な手続きが多い。
議論を経て政府のシステムがバラバラなため手続きが12回あり、登記簿謄本を6回出すといった煩雑さを解消し、1回で済むように電子的に統合していく方向が固まった。一方、株式会社の設立時(原始定款)に公証人の面前における認証が必要なのかという論点について法務省、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会が不正な目的の起業が抑止されると主張。これに対し、同検討会の全委員から効果について疑問の声が出た。結果としてパソコンやスマホにより定款の認証が済ませられるものの、公証人による定款認証制度自体は残り、起業家が支払う手数料5万円も手つかずとなった。
18年版の中小企業白書によると、1997年以降国内起業家数は毎年20万―30万人で推移。「起業希望者は大きく減少する一方で、起業家数は起業希望者ほど大きく減少していない(中略)行政は起業希望者を増加させるための取組とともに、起業希望者が起業家になりやすい環境を整備するための取組を、同時併行で推進していくべき」(同白書)としている。起業家は製品やサービスの開発、取引先の開拓、資金調達などすべきことが山ほどある。
(2018/7/26 05:00)
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