[ オピニオン ]

社説/「RE100」参加 再生エネの調達環境を改善せよ

(2018/7/31 05:00)

環境省と外務省がそれぞれ、事業で使う電気全量の再生可能エネルギー化を目指す国際組織「RE100」に参加申請した。両省とも庁舎で再生エネ利用を増やす。日本は企業が再生エネを調達できる環境が整っていない。行政自らが課題を体験し、改善策を検討して国内での再生エネ普及につなげてほしい。

RE100は、英NGO(非政府組織)が2014年に設立した。米フェイスブック、独BMWなど200社が加盟し、米アップルや米グーグルは再生エネ100%を達成。日本からリコーなど10社が参画するが、再生エネ比率は数%にとどまる。

RE100は、電気を大量に使う企業が対象であるため、両省は企業を支援する「大使」としての参加となる。RE100の代表者は「公的機関が企業の立場に立って再生エネ導入の課題を考えられる。大きな意義がある」と期待を示した。

日本の発電に占める再生エネ比率は約15%で主要国から遅れをとった。エネルギー基本計画で普及を阻む課題がいくつも指摘されている。電気を使う需要家にとって再生エネの電気は割高で、直接入手できる量も限られる。RE100が条件とする発電所を選んで購入ができる仕組みも不十分。海外では急速な普及で、再生エネがつくる電気の価格が下がった。RE100参画企業はコストも優位とみて再生エネ購入を増やしている。

RE100に参加する日本企業は「日本がサプライチェーンから外される」と心配する。アップルは調達先にも再生エネ活用を働きかけ、米マイクロソフトは再生エネを購入できる地域を選んでデータセンターを新設している。今後も再生エネを取引や立地の条件にする企業が増えるだろう。国内で再生エネを大量に安価に調達できないと、日本企業は市場から締め出される。日本からの企業流出も懸念される。

環境、外務の両省ともRE100参加をパフォーマンスで終わらせてはいけない。国際競争が激化する企業の立場を理解し、再生エネを調達しやすい環境づくりに取り組むべきだ。

(2018/7/31 05:00)

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