[ 政治・経済 ]
(2018/8/3 05:00)
政府が2020年東京五輪・パラリンピックでの暑さ対策として、サマータイム(夏時間)導入に向けた検討に入ることが2日、分かった。政府内には慎重論があるものの、関係者によると、安倍晋三首相が導入に前向きな考えを示した。19年に試験的に実施し、効果を見極める案が浮上している。
夏時間をめぐっては、東京五輪組織委員会(森喜朗会長)が大会開催中の暑さ対策として、時計の針を2時間早めることを求めている。記録的な猛暑が続く中、2年後の五輪で熱中症患者が続出することへの懸念が強まっており、首相としては夏時間導入も排除せず、あらゆる手段を講じることで選手や観客らの健康対策に万全を期す意向とみられる。
政府は従来、夏時間の導入には消極的で、菅義偉官房長官は7月30日の記者会見で「国民の日常生活にも大きな影響が生じる」と述べていた。ただ、関係者によると、その後に首相が検討の必要性を周囲に伝え、菅長官とも考えを擦り合わせた。
仮に2時間繰り上げる夏時間を導入すれば、午前7時スタートのマラソンは、現在の時間で午前5時開始となり、涼しい中でのレースが期待される。一方で、夕方の競技が暑い時間帯に行われるジレンマも抱える。
夏時間を導入した場合、「残業が増える」などの懸念をどう払拭(ふっしょく)するかが課題となる。鉄道や航空機の時刻表変更や、コンピューターのシステム修正といったコストも生じる。政府はデメリットも十分考慮し、実際に導入するかを慎重に判断する方針だ。(時事)
(2018/8/3 05:00)