[ 政治・経済 ]
(2018/8/11 08:30)
【ワシントン=時事】ペンス米副大統領は9日、国防総省で演説し、トランプ大統領が提唱する「宇宙軍」について、2020年までの創設を目指すと表明した。陸海空軍と海兵隊、沿岸警備隊に続く6番目の軍となるが、議会の同意が必要。議会や米軍内に難色を示す向きもあり、構想実現には曲折も予想される。
ペンス氏は演説で「米軍の次の偉大な章を書く時が来た」と宣言。ロシアや中国の宇宙進出を挙げて「対抗勢力は既に宇宙を戦闘領域に変えている」と指摘するとともに、「米国はそうした挑戦にひるまない」と強調した。
トランプ氏は6月、現在は空軍が主に管轄する宇宙分野を独立させた宇宙軍の創設を指示。9日のツイッターでも「宇宙軍を実現させる」と改めて強い意欲を示した。
米政府の計画では、前段階としてインド太平洋軍や中央軍と同格の統合軍としての宇宙軍を設置するとともに、国防総省に宇宙担当の次官補を置く。ペンス氏は宇宙での安全保障システム整備に向け、今後5年間で総額80億ドル(約8900億円)の追加支出を議会に求めた。
ただ、新たな軍創設には巨額の経費がかかる上、軍組織の官僚機構化が進みかねないと懸念する声も強い。米メディアによると、マティス国防長官は昨年、議員に宛てた書簡で宇宙軍に慎重姿勢を示していたが、9日には「宇宙は極めて重要な国益の一つであり、現実に適応せねばならない」と創設に賛同した。
(2018/8/11 08:30)