[ オピニオン ]
(2018/8/27 05:00)
企業や地方自治体などが環境保全対策のために必要な資金を調達するグリーンボンド(債券)の発行が活発になってきた。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1・5度に抑える努力をするというパリ協定を受け、企業や地方自治体が温室効果ガスの排出を抑える事業を行う資金を調達するためだ。
グリーンボンドは2007年に欧州投資銀行が発行した再生可能エネルギー、省エネ事業の資金調達のための債券が発端といわれている。日本総合研究所の黒田一賢スペシャリストによると、グローバルの発行額は2012年の26億ドルが16年は872億ドル、17年は1555億ドルに達し、20年には1兆ドルが予想されるという。
日本では、14年335億円だったが、16年1588億円、17年3544億円(ソーシャルボンド、サスティナビリティボンドなどの社会貢献債含む)に達した。日本の最近の発行体には3メガバンクや東京都、野村総合研究所、日立キャピタル、戸田建設、日本郵船、三菱地所などが名を連ねている。使途は再生可能エネ関連が多く、戸田建設は長崎県五島市に浮体式洋上風力発電を建設した。
グリーンボンドは、国際資本市場協会(ICMA)が調達資金の使途やプロジェクト選定プロセスの明示、調達資金の管理、情報開示といった原則を定めている。また発行体向けのガイドラインを毎年改訂しており、18年はSDGs(持続可能な開発目標)とソーシャルボンド対象プロジェクトの関連性を示した対照表を公表した。
一方、日本でも環境省が昨年、地球温暖化対策や自然資本の劣化の防止に資するグリーンプロジェクトに民間資金を導入するための有効なツールとして「グリーンボンドガイドライン」を策定した。18年度はグリーンボンド発行モデル創出事業を実施している。
SDGsのGは30年のゴールである。目標を達成してゴールテープを切る一助となるよう日本でのグリーンボンド市場の一層の活性化を期待したい。
(2018/8/27 05:00)
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