[ 政治・経済 ]
(2018/9/1 06:30)
【ブリュッセル=時事】欧州連合(EU)欧州委員会は31日、EUが採用している現行の夏時間制度の廃止をEU加盟各国と欧州議会に提案すると発表した。欧州委が実施したEU市民への意見調査で、約460万件の回答のうち、夏時間の廃止希望が84%に上ったことを踏まえた。
ユンケル欧州委員長は同日、ドイツの公共放送ZDFに対し、「何百万人もの市民がもう時間を変更したくないと言っており、欧州委は彼らの言う通りにする」と語った。
EUは現在、3月の最終日曜日に時計を1時間進め、10月の最終日曜日に元に戻す制度の実施を加盟28カ国に義務付けている。
欧州委が31日公表した調査結果(速報)では、84%が廃止を要望。76%が夏時間制度による年2回の時間変更を「非常に悪い」あるいは「悪い」経験だと回答した。廃止を希望する具体的な理由としては、健康への悪影響や交通事故の増加、省エネ効果がないことなどを挙げた。
調査結果や欧州委の判断は、2020年の東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として夏時間導入を検討している安倍政権の議論にも影響を与えそうだ。
欧州内では健康被害などへの懸念から廃止を訴える動きが徐々に拡大。欧州議会は今年2月、フィンランドの廃止要請を受け、制度存続の是非に関する検討を欧州委に求める決議を採択した。欧州委は7月4日~8月16日までEU市民を対象に意見聴取を実施した。
(2018/9/1 06:30)