[ オピニオン ]
(2018/9/25 05:00)
2030年の世界像を描いた「持続可能な開発目標(SDGs)」が15年9月25日、国連総会で採択されてから3年になる。同日付の日刊工業新聞は、1面を割いて採択を伝えているが、見出しに「SDGs」の略称はない。
確かに当時、SDGsは産業界に知られていなかった。それが今、経営層の4割に定着したという調査もあり、略称が紙面に載るのも普通になった。
ただ、誤解もある。ある企業関係者は「まだステップ1だから」と恥ずかしがる。国連の機関が経営にSDGsを採用する五つの手順を示しているが、あくまで参考。その通りにする必要はない。
1807年(文化4)、ロシア軍艦が択捉を襲撃する事件が起きた。『徳川がつくった先進国日本』(文春文庫)によると警備の武士は兜の緒の結び方を教え合い、肝心の作戦は後回しとなって敗退した。著者の磯田道史さんは「行儀・作法はきちんとしていますが、一番大切なことを自分で考えて実行に移すのが苦手」と日本人の気質を指摘する。
欧州企業はSDGsへの取り組みを取引条件にしようとしている。SDGsを巧みに利用し、競争で優位に立つ戦略だ。日本企業は手順に従うばかりでは競争から後れてしまう。
(2018/9/25 05:00)