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更新していますか トップランナー変圧器

(2018/10/25 05:00)

業界展望台

変圧器の一般的な寿命は20年程度と言われている。しかし寿命に近い年数を経過していても通常通り機能するため、それを超えて壊れるまで使われることも少なくない。変圧器は、より良いエネルギー消費効率を目指し、「トップランナー変圧器2014」として高いレベルで改善されている。「まだ使える」と思っても、更新推奨時期にトップランナー変圧器2014に置き換えることで、突発的な事故や故障のリスクを回避し、大幅な省エネと安全性・信頼性向上を実現したい。

大幅な省エネ実現 安全性・信頼性を向上

変圧器は工場や事業所、病院、公共施設など電力を必要とするあらゆる場所で使用され、電力インフラを支える重要な役割を担っている。現在、省エネ効果が最も高い製品の仕様以上を業界の省エネ基準にするトップランナー方式が適用され、第二次判断基準となるトップランナー変圧器2014への置き換えが進んでいる。

トップランナー方式の対象になる以前から、変圧器の電気エネルギー変換効率は98%を超え、電力損失は約2%という高い効率性を誇っていた。しかし稼働する膨大な変圧器の総容量を考えると、少しでも省エネ性能を高める必要があった。

2006年に油入変圧器、07年にモールド変圧器に第一次判断基準が適用され、トップランナー基準以前の旧型変圧器に比べエネルギー消費効率は32.8%改善。それから約7年が経過し、省エネ性能をより一層高めた変圧器を目指して、14年4月に第二次判断基準(トップランナー変圧器2014)の適用が義務付けられた。

トップランナー変圧器2014の電気エネルギー変換効率は約99%、エネルギー損失は旧型と比較して40%低減し、世界最高レベルの水準となっている。

変圧器は電力インフラを支える重要な役割を担う半面、更新推奨時期を過ぎて20~―30年使用されることは珍しくない。旧型変圧器は約200万台が稼働していると言われており、そのうち更新推奨時期の20年を過ぎたものも相当数あると推定されている。

老朽化に伴って事故や故障の発生リスクが高まるが、寿命に近い年数を迎えていても通常通り機能するため、突発的な事故や故障につながりやすい。計画的な点検、更新で信頼性を確保することが必要だ。トップランナー変圧器2014へ更新することで、大幅な省エネ効果とともに安全性と信頼性を確保したい。

更新する際には、中小企業の設備投資を支援する税制措置もある。中小企業等経営強化法の経営力強化税制では要件を満たせば変圧器も対象となり、固定資産税の特例と合わせて税制の優遇を受けることができる。対象は資本金1億円以下の法人や個人事業主などが、19年3月31日までに導入した生産性が年平均1%以上向上する設備であることなど。固定資産税が3年間2分の1になるほか、即時償却または最大で10%の税制控除が受けられる。

■ユーザーに向けて/消費エネさらに削減、使い勝手も向上

日本電機工業会 省エネ法特定エネルギー消費機器 変圧器普及促進委員会 委員長 海津 朋宏 氏

トップランナー変圧器の第二次判断基準の適用が2014年に始まり、5年目を迎えている。

新たに各メーカーから出荷される変圧器は、基準を満たした省エネ性能の優れた製品にほぼ切り替わっており、消費エネルギーおよびCO2の削減効果が期待できる。一方、フィールドでは更新推奨時期である20年を超えて使用されている変圧器が約200万台と数多く存在し、その古い変圧器はトップランナー変圧器と比べて消費エネルギーが非常に大きく、改善の余地がある。変圧器はインフラを支える重要な機器であり、一度故障を起こすとその影響は大きく、省エネ性能と合わせて信頼性向上のためにも早めにトップランナー変圧器への更新を推奨したい。

また第二次判断基準からは、東日本大震災における経験から、地震時の変圧器端子の最大変位量を規定した。配電盤を変圧器端子の最大変位量に対応した構造にすることにより、電気設備の耐震性能の向上が図られており、東日本大震災以降に発生した地震においても電気設備の故障削減に寄与しているものと考える。

今後も当委員会においてはトップランナー変圧器の普及だけではなく、さらなる消費エネルギーの削減、ユーザーの使い勝手向上を図った変圧器を市場に供給するための活動を推進していく。

(2018/10/25 05:00)

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