[ オピニオン ]
(2018/11/6 05:00)
米国中間選挙が11月6日に実施される。全議席が改選となる下院では、現在過半数を占める共和党の劣勢で、一方上院では共和党がやや優勢との見方が広がっている。ただ、中間選挙がいかなる結果でも、トランプ米国大統領が大統領権限を駆使して政策を進めていくという方針は維持されそうだ。中でも通商政策については、「米国第一主義」を基本とする保護主義傾向は変わらず、先行きへの不透明感は払拭(ふっしょく)できないと見られる。
基本シナリオは、中間選挙後には上院で共和党が過半数を維持する一方で、下院では民主党が過半数を獲得し、4年ぶりの「ねじれ議会」が発生するというものだ。議会にねじれが発生すると、両党が対立する法案の議会通過は困難となり、政策の停滞という事態に直面する。
また、民主党が上下両院で過半数を獲得した場合、議会で民主党寄りの政策が進められることになる。しかし、民主党寄りの提出法案が議会を通過しても、トランプ大統領が拒否権を発動すれば法案が成立しない。
さらに、共和党が上下院とも過半数を握るという現体制を維持した場合は、2020年の大統領選挙に向けた実績づくりとして、これまで達成できなかった公約の実現を目指すことになる。実現できていない公約としては、インフラ投資が挙げられる。ただ、18年度(17年10月―18年9月)の財政収支は約7790億ドルの赤字となっており、12年度以来の大幅な赤字を計上した。こうした中で、10年間で約1兆5000億ドルのインフラ投資をまかなう財政支出をうみだすのは容易ではない。
中間選挙がどういった結果になったとしても、トランプ大統領の通商政策の姿勢は変わらないだろう。「米国第一主義」のもと、2国間貿易赤字を縮小しつつ、「公正」で「互恵的」な貿易関係をつくるとし、世界貿易機関(WTO)に基づく自由・多角的・開放的な国際貿易制度に対抗していく姿勢だ。
日本は、EU(欧州連合)や他のG7(先進7カ国)諸国と連携して、自由貿易の意義を説き続けていくしかない。
(2018/11/6 05:00)
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