[ 政治・経済 ]
(2018/11/27 22:30)
【北京=時事】27日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、米国との貿易摩擦などの影響で、中国の空母建造に遅れが出ていると報じた。中国の国営メディアは25日に3隻目の空母の建造を初めて報道したが、習近平指導部は、トランプ政権との対立で経済に悪影響が及ぶ中、米国を刺激するべきではないと判断しているという。
同紙によると、中国は2030年までに4隻の空母の就役を計画してきた。しかし、空母計画の関係者は、予算の縮小や習指導部による軍の大幅な組織変更により、計画を見直す可能性が出ていると指摘。予定されていた4隻目の空母建造が米国との貿易摩擦の激化を受けて最近延期されたと明らかにした上で「中国政府は、米政府をこれ以上怒らせたくないと考えている」と述べた。
また、欠陥が見つかった空母艦載機「殲15」の改良が順調に進んでいないことも空母計画に影響しているという。中国は殲15の代替機の開発に取り組んでおり、空母関連予算を逼迫(ひっぱく)させる原因となっているもようだ。殲15は操縦系統やエンジンに問題があるとされ、国営メディアも墜落事故を伝えている。
中国はウクライナから購入した船体を改修した初の空母「遼寧」を12年に就役させた。遼寧を基に独自に建造した2隻目の空母は試験航海を重ねており、来年、軍に引き渡される見通しだ。
遼寧や2隻目の空母は、艦載機の発艦方式として、そり上がった船首甲板を利用するスキージャンプ式を採用したが、3隻目の空母は効率的に発艦できる電磁カタパルトが装備されるとみられている。27日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は、3隻目の空母の進水は約2年半後になるという軍事専門家の分析を伝えた。
(2018/11/27 22:30)