[ オピニオン ]
(2018/12/18 05:00)
ポーランドで開かれていた第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)は、会期を1日延長して15日(日本時間16日朝)に閉幕した。2015年のCOP21で採択され、16年に発効したパリ協定を実行するためのルールを採択した。20年以降、各国が共通ルールにより温室効果ガス排出削減に取り組むことになる。だが、温暖化上昇を1・5度Cに抑えるなどいくつかの課題は残っている。
一つは中国に次いで温室効果ガス排出2位の米国のトランプ大統領がパリ協定離脱を表明したこと。規定によって離脱は20年11月以降になるが、トランプ大統領の任期は21年1月まである。再選されれば25年1月まで米国は離脱状態となる可能性がある。
もう一つはCOP24に先立つ10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した特別報告書。温暖化が現在の度合いで続けば30―52年の間に気温上昇が1・5度Cに達する可能性が高いという。温暖化を2度Cではなく、1・5度Cに抑えることで、多くの気候変動の影響が回避できるとしている。
2100年までに温暖化を1・5度Cに抑えた場合、世界の海水面上昇は2度Cの温度上昇の場合に比べて10センチメートル低くなる。夏季に北極海が氷結しない可能性も2度Cの場合の10年に1回以上に対し、1・5度Cの場合は1世紀に1回となる。また1・5度Cの場合、サンゴ礁は70―90%減少するが、気温上昇が2度に達した場合、サンゴ礁はほぼ全滅すると報告している。
報告書は最後に「国及び地方当局、市民社会、民間部門、先住民族、及び地元の(ローカルな)コミュニティの気候行動の能力を強化することによって、1・5度Cの温暖化のために示唆される、野心的な行動の実施支援が可能となる」としている。
日本企業も再生可能エネルギー100%を目指すRE100や日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan―CLP)の加盟企業が増え、脱炭素に挑戦している。こうした取り組みが中小企業も含めて産業界に広がることを期待したい。
(2018/12/18 05:00)
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