[ 政治・経済 ]
(2018/12/19 14:30)
23年度から運用、対中国・ロシア警戒か
防衛省が山口県山陽小野田市で整備計画を進め、2023年度からの運用を目指している宇宙監視レーダーに関して、スペースデブリ(宇宙ごみ)だけでなく、他国の人工衛星を攻撃する「キラー衛星」も監視対象にすることが、政府関係者への取材で分かった。同省は宇宙空間の状況を常時監視する宇宙領域専門部隊を航空自衛隊に新設する。
ロシアや中国はキラー衛星の開発を進めているとされ、宇宙空間の平和利用を妨げる物体を幅広く監視し、米軍とも情報共有する。
政府は安全保障上の脅威が多様化しているとして、陸海空に加えて宇宙、サイバー空間、電磁波領域での対処能力を強化する「クロス・ドメイン・オペレーション(領域横断作戦)」を打ち出している。宇宙の状況監視はその柱の一つで、新たな「防衛計画の大綱」にも盛り込まれた。
レーダーは山陽小野田市の海上自衛隊山陽受信所の跡地に設置される。防衛省が監視するのは主に静止衛星が位置する高度3万6000キロメートル軌道で、22年度にレーダーを完成させ、23年度から運用する。衛星の運用に重大な支障を与えるデブリとともに、他国の衛星に接近して活動を妨害したり、攻撃したりする「キラー衛星」の可能性がある衛星の動きも監視する。
デブリの監視については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とも連携する。JAXAは岡山県井原市と鏡野町にある観測施設で得た宇宙監視情報を航空自衛隊府中基地(東京都府中市)に設置される防衛省の運用システムに提供する。同省は宇宙監視の知見を得るために空自隊員をJAXAに派遣している。
防衛省によると、ロシアや中国はキラー衛星の研究・開発を進めている。中国は10年に衛星同士を接近させる実験を実施したとされる。米政府は今年8月、ロシアが昨年打ち上げた衛星が、目的とは異なる不自然な動きをしていると公表した。(時事)
(2018/12/19 14:30)