[ ICT ]
(2019/1/29 12:00)
欧州各国の政府が安全保障上の懸念から中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の製品を禁止すれば、次世代移動通信ネットワークの導入競争で欧州は米国や中国に後れを取ることになるだろう。そうした見方が欧州最大の通信事業者ドイツテレコムの社内調査で示された。
ここ数週間に書かれた調査報告書に詳しい複数の関係者によれば、第5世代通信(5G)ネットワーク向け機器供給業者のリストから華為を外せば、技術の普及が少なくとも2年は遅れるとドイツテレコム幹部は警告。調査結果は社外秘だとして、関係者が匿名を条件に語った。ドイツテレコムの広報担当はコメントを控えた。
ドイツをはじめとする欧州各国の政府は、華為製品が中国情報機関のスパイ活動に使われる可能性があるとの懸念から、同社製機器の使用を制限するかどうかを検討してきた。華為はそうした懸念を否定しており、中国の王毅外相は先週の欧州訪問の際、華為を標的にする「でっち上げ」の口実を用いるのをやめるよう各国に求めた。
欧州通信各社はデータ需要の増加に対応し、自動運転車やスマート家電など稼げる可能性のあるアプリケーションを支援する目的で、5G通信網に多額の資金を投じる準備を進めている。そうした中で、華為はこれら企業への主要な供給業者となっている。ドイツテレコムは数千もの無線電波塔に華為のシステムを設置。同社の一部クラウド製品の根幹にも華為の技術が使われている。
華為への圧力が高まる中、一部の通信事業者は既に同社との取引を抑制している。英ボーダフォン・グループは先週、華為からの一部機器の購入停止を発表。ドイツテレコムは先月、調達戦略を見直すと表明し、同社の供給業者リストから華為を外す可能性を初めて 示唆していた。(ブルームバーグ)
(2019/1/29 12:00)