[ オピニオン ]
(2019/2/19 05:00)
仮想通貨で知られるブロックチェーン(分散型台帳)技術の適用領域が全産業へと広がりつつある。大手企業のみならず、ベンチャーなどの新興勢力の参入も相次ぐ中で、産業の新しい芽が出ることを期待したい。
ブロックチェーンは金融取引以外では製造や流通、公共、医療分野など幅広い用途が見込まれるが、技術的にはまだ発展途上にあり、現状は検証を兼ねた段階的な活用が大半だ。
ただ、取引履歴などを改ざんせずに記録し共有できることへの期待は大きく、農作物の産地偽装や検査データの改ざん防止で実証実験が相次ぐ。さらにはダイヤモンドやワインなどの取引・流通記録や、複数企業をまたがって取引される商品のサプライチェーン(供給網)のトレーサビリティー(追跡管理)などでの引き合いも増えている。
ブロックチェーンは分散型社会を担う次世代インフラとしても有望。これまでは金融機関や大手企業が技術標準などを主導してきたが、ここにきてベンチャーなど新興勢力の台頭が目覚ましい。
ブロックチェーンの普及促進に向けた動きでは2016年に発足したブロックチェーン推進協会(BCCC)の活動が軌道に乗ってきた。新たに36社が加盟し、参加メンバーは270社となった。
BCCCが運営するブロックチェーン活用の検討会は金融、教育、リスク管理、トレーサビリティー、トークンエコノミーなどがあり、新たにゲーム部会が立ち上がり、部会は計九つとなった。19年末までに350社の加盟を目指す計画だ。
新規メンバーの顔ぶれは旅行業、不動産業、運輸業、ゲーム業などと多彩。今回は仮想通貨交換業者のビットポイントジャパン(東京都港区)も名を連ねた。これを機にBCCCが発行する「日本円ペッグ(日本円と価値が連動する通貨)コイン」の社会実験プロジェクトを再開する予定だ。こうした地道な活動を通じて、加盟各社が業種を超えて連携することで、ブロックチェーン技術が社会全体に広く根付くことを期待したい。
(2019/2/19 05:00)