[ オピニオン ]
(2019/2/25 05:00)
防災関連の設備投資を行う中小企業の税負担を軽減する新しい制度が政府によって検討されている。企業防災の支援の中でも、中小企業を対象にしたことは歓迎したい。2019年度の与党税制改正大綱に盛り込まれた。中小企業が本格的な防災投資に取り組む契機になるよう、柔軟な制度設計を求めたい。
制度のポイントは中小企業が行う災害への事前対策を強化するために防災・減災設備を導入した場合、投資に対する20%の特別償却が受けられること。具体的には自家発電機、止水板、排水ポンプ、制震ラックなどが対象となる見込みだ。早期の取り組みを促すため、適用期限は20年度末までとする。
資金やマンパワーに限りがある中小企業にとって、防災・減災投資は簡単なことではない。その点、投資に伴う税負担の軽減であれば中小企業も受け入れやすいはずだ。政府および関係機関には制度の認知、理解を広める取り組みを求めたい。
このところ相次いだ自然災害により、一企業の復旧の遅れがサプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすことを我々は思い知らされた。防災・減災対策が経済活動を強くするという考え方に異義はないだろう。
一方で、投資効果が見えにくいことが防災・減災投資の足かせになっている。「何も起こらなくて当たり前」のことに投資マインドを振り向けることは思いの外、難しい経営判断といえる。今回の制度では、免震ラック、衛星電話など比較的、身近な器具・備品も特別償却の対象になっている。中小企業には自社の身の丈に合わせた内容で取り組んでほしい。
中小企業を防災・減災投資に向かわせるインセンティブは重要だ。すでに金融機関の中には、事業継続計画(BCP)策定など防災対策を講じている企業に対して金利を優遇するなどサービスの幅が広がっている。防災対策が資金調達に有利に働くとなれば、支援策として一定の機能が期待できる。
中小企業が災害を乗り切るために必要な支援とは何かを再考したい。
(2019/2/25 05:00)
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