[ オピニオン ]
(2019/3/13 05:00)
キリスト教の教会をまるごと使った起業家支援施設がドイツにある。とはいえ、商売繁盛の神頼みが狙いではない。
場所はドイツ西部、ベルギーとオランダ国境に接する古都アーヘン。聖エリザベート教会の閉鎖に伴い、NRW州の補助金を得ながら産業のデジタル化に貢献する施設として、外観はそのままに「デジタルチャーチ」が2017年オープンした。
80席の机に会議室、Wi―Fiを備え、毎日いつでも使える。各社の成果発表会であるデモデイも年1回開催。すでに大手自動車メーカーと協業し、法人向けにスマートフォンで簡単にカーシェアを実現する技術を提供するモコ(MOQO)といった企業も生まれている。
一方で市の文化財保護政策に沿って十字架やマリア像などが残してあるため、少し妙な感じもする。それでもスタートアップ支援組織デジハブ・アーヘンの担当者は「もはや神の宿る建物ではなく、俗世界のもの」ときっぱり。
しかも信者の減少から閉鎖に踏み切る教会はここにとどまらない。中には、レストランやディスコ、図書館、納骨堂に生まれ変わる例もあるという。日本でも檀家(だんか)や氏子の減少で立ち行かなくなったお寺や神社は多く、再利用のヒントになるかも。
(2019/3/13 05:00)