[ 政治・経済 ]
(2019/3/13 11:30)
【ロンドン=時事】英議会下院(定数650)は12日夜(日本時間13日未明)、政府が欧州連合(EU)とまとめた離脱修正案の採決を行い、賛成242、反対391の大差で否決した。当初案が否決された1月に続き、与党・保守党の一部議員が英領北アイルランド問題をめぐる不満から造反、反対に回った。EUはこれ以上譲歩しない考えで、「離脱を成功させる」と繰り返してきたメイ首相の戦略は事実上破綻した。
2カ月で2度の否決により、離脱の行方は一段と不透明感が増した。今後は「どういう結末を迎えるか何の保証もない」(英メディア)状況だ。
議会は13、14両日、「合意なき離脱」を月末に迎えるか、それともEUに2、3カ月の離脱延期を要請するかを判断する。混乱を招きかねない合意なき離脱は避けたいという意見が多く、延期への支持が多数を占めそうだ。
ただ、短期間の離脱延期は一時しのぎに終わる恐れが強い。首相は修正案の否決を受け、下院で「離脱延期に賛成しても問題は解決しない」と警告を発した。自らの進退には触れなかった。
採決では与党の75人が造反したほか、メイ内閣に閣外協力している民主統一党(DUP)も反対した。1月の採決では230票差で離脱案が否決されている。
焦点となったのは、離脱案で批判が集中した「バックストップ(安全網)」と呼ばれる北アイルランド問題の解決策。これが発動されると、英国は離脱後もEUの関税同盟への残留を強いられるため、EUからの独立を重視する保守党の「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」派らが大幅な見直しを求めた。
政府は採決直前の11日、EUと修正案で合意。首相は「議会が望む修正を確保した」と主張したが、実際は当初案とほぼ同じ内容で、強硬派から「現在の形の安全網では受け入れられない」と拒絶された。
(2019/3/13 11:30)