[ オピニオン ]
(2019/5/2 05:00)
あるテレビコマーシャルで客らしき男性が「お店の商品、全部買います。カードで!」と言う。店主らしき人が「うちはカードだめなんで」と断ると、男性は「じゃあ、いいです」と言い、よその店に行く。現金にこだわる店主が儲け話をフイにした瞬間だ。
わが国でのキャッシュレス化の遅れを指摘して、取り組みの必要性を示唆したCMといえる。現金に対する信頼性の高さ、現金を持ち歩いても安心・安全な治安の良さという日本の長所がキャッシュレス化の進展を遅らせるとしたら皮肉なことだ。
電車や地下鉄の利用者を見ると、自動券売機で切符を買う人は皆無に近い。大半の人が交通系カードを使って改札を通っている。コンビニでスマートフォンを支払いに使う人も多い。利用する側にキャッシュレスへの抵抗感はあまりないようだ。
抵抗感がないどころか、自分の財布は複数のクレジットカード、流通系カード、交通系カードと決済手段であふれている。お店によって使えるカードが異なり、時に混乱する。
政府は消費税率引き上げの影響を軽減するため、クレジットカード利用者への還元を検討している。キャッシュレス化の促進には、同時に規格統一など受け入れ側の対応も急ぐべきだ。
(2019/5/2 05:00)