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[ 自動車・輸送機 ]
(2019/5/2 05:00)
【ニューヨーク=時事】米自動車大手クライスラー(現フィアット・クライスラー・オートモービルズ=FCA)が2009年に経営破綻してから4月30日で10年。当時、ゼネラル・モーターズ(GM)も実質国有化に追い込まれるなど、米自動車業界は大きな危機に直面した。フォード・モーターを含む「ビッグスリー」は燃費を意識した新型車も展開しつつ、景気回復の波に乗って復活を遂げたが、最近では危機の一因となった「大型車偏重」に回帰する動きが目立つ。
「ありがとう、フィアット・クライスラー」。トランプ米大統領は今年2月、FCAがミシガン州デトロイトの5工場に45億ドル(約5000億円)を投じ、6500人を雇用する計画にツイッターで謝意を示した。米新車販売が頭打ちとなる中、FCAは主力ブランド「ジープ」などの増産に踏み切る。
強気な戦略の背景にあるのは、米国での旺盛な大型車需要だ。米業界誌によると、昨年の米新車販売のうち、スポーツ多目的車(SUV)、ピックアップトラックなど大型車の比率は過去最高の69%を記録。GMに至っては販売の8割超を大型車が占める。フォードも乗用車の生産を縮小する一方、売れ筋の大型SUVなどに力を入れる。
ただ、大型車への依存はリスクをはらむ。価格が高く、ガソリンの消費量も多い大型車は、不況や原油高で一気に販売が落ち込む恐れがある。
日本自動車部品工業会北米事務所の河島哲則代表は「米メーカーの大型車偏重は今も昔も変わらない。当時と違うのは、生き残りを懸けた電気自動車や自動運転車の開発に莫大(ばくだい)な資金が必要なことだ」と指摘。「各社とも利幅の大きい車種を売ることで、今まで以上に必死になってもうけようとしている」と語り、大型車重視の戦略が当面続くと予想する。
(2019/5/2 05:00)