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[ エレクトロニクス ]
(2019/6/15 05:00)
「物言う株主」ローブ氏、1600億円超の株保有
アクティビスト(物言う株主)として知られるダニエル・ローブ氏は13日、15億ドル(約1630億円)相当のソニー株保有を公表するとともに、ソニーに半導体部門をスピンオフ(事業の分離・独立)し、エンターテインメント事業に集中するよう求めた。
ローブ氏率いる米ヘッジファンド、サード・ポイントは株主宛て書簡で、ソニーは「現在、世界で最も割安な大型銘柄の一つ」だと指摘した。ローブ氏はソニーに対し、ソニーフィナンシャルホールディングスや音楽ストリーミングサービスのスポティファイ・テクノロジー、オリンパスなどの持ち分売却を検討し、資本構成を改善すべきだと主張した。
サード・ポイントはウェブサイトに掲載された同書簡で、スマートフォンに使われるイメージセンサーを含むソニーの半導体事業について、分離すれば5年以内に350億ドル相当の価値を持つ企業になる可能性があるとしている。
半導体事業の主力製品であるイメージセンサーの2019年3月期売上高は、前期に比べ9.5%増の7114億円。今期は18%増の8400億円を見込む。ソニーは5月の経営方針説明会で、従来1兆円としていた21年3月期までの3年間の設備投資額を1.1兆円から1.2兆円に増額するとした。
サード・ポイントは書簡で、「現在のソニーの企業価値はわれわれが提案した資本構成の最適化による増加分を含めた潜在価値の半分程度」だと指摘。吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)が「巨大な資本ポートフォリオの価値を解放することに集中していく」ことで、より強いソニーをつくるチャンスがあるとした。
ソニーの広報担当、飯田高志氏は電話取材で「個別株主とのやりとりは公表しておらず、コメントを控える」と述べた。その上で、一般論としてソニーとしては出資を歓迎しており、ソニーの経営陣や取締役会は株主との対話を重視し、株主からの提案を真摯に受け止めて建設的な対話を行っていくと話した。
エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、サード・ポイントは単独事業の価値の合計よりも全体の企業価値が低く評価される「コングロマリットディスカウントを気にしているのではないか」と指摘。サード・ポイントの要求も「一理ある」とした上で、収益規模の大きい「ソニーグループの一員としてやる方が投資はしやすい」と話した。
サード・ポイントは13年にもソニー株を取得し、エンターテインメント事業の分離上場を要求したが、14年には売却した。株の買い増しは今年4月にロイター通信が報じ、ソニー株が急騰する場面があった。
吉田社長は5月のインタビューで、サード・ポイントによる株取得について問われ、「特定の投資家についてのコメントはしない」とした上で、「投資家との対話は大事」と説明。情報開示に伴って説明責任が生じ、「自己検証になる」と述べた。(ブルームバーグ)
(2019/6/15 05:00)