[ オピニオン ]
(2019/7/8 05:00)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が11日にも小惑星「リュウグウ」の表面に作ったクレーター付近にタッチダウン(着陸)し、小惑星内部の試料を採取する。世界初の試みに世界が注目している。
この決定の裏側で関係者同士の白熱した議論があった。「小惑星内部の新しい試料を採取し知見を得たい」と一部の研究者は主張。一方で、機体への危険を冒してまで試料を採取することに難色を示す技術者もいたという。
2月時点で、はやぶさ2は小惑星表面の試料を採取している。試料を無事に地球に持ち帰ることが最大のミッションであるため、新しい試料を採取するという挑戦と無事に帰還すべきというリスク回避との間でせめぎ合いがあったのだろう。
科学は多くの実験の中で失敗を積み重ね発展してきた。だが多くの予算を投入し国民の期待が高い宇宙分野での取り組みに失敗は許されないと考えても不思議ではない。
国内では内閣府が社会を大きく変えるような野心的な研究開発戦略「ムーンショット型研究開発制度」を進めている。人類を月に打ち上げるような挑戦には心が躍るだろう。はやぶさ2の着陸が日本のチャレンジ精神の象徴となることに期待したい。
(2019/7/8 05:00)