[ 金融・商況 ]
(2019/7/11 05:00)
【ワシントン=時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は10日、交流サイト最大手の米フェイスブック(FB)が計画する独自の暗号資産(仮想通貨)「Libra(リブラ)」に関し、金融安定や個人情報保護など「多くの重大な懸案を抱える」と注意を促した。課題解決まで「計画を進めることはできないだろう」と、同社に普及を急がないよう警告した。
「リブラ」は暗号資産の基盤技術を用い、スマートフォンなどを使った個人間の送金や決済が可能。フェイスブックは新たなビジネスモデルと位置付け、企業連合を設立して2020年前半の発行を目指している。
パウエル議長は下院金融サービス委員会での証言で、「リスクが適切に管理される限り、FRBは金融サービス業の革新技術を支持する」と強調。一方で個人情報保護、利用者確認によるマネーロンダリング(資金洗浄)対策など「計画を進める前に徹底して対処されるべき懸案がある」と問題点を指摘した。
世界で20億人以上の利用者を抱えるフェイスブックが金融サービス分野に本格参入すれば、大手金融機関が優位に立ってきた業界勢力図が一変する可能性がある。パウエル議長は、新たな暗号資産が広く使われることで「金融システムに重大な懸念をもたらす」と憂慮した。
その上で、既存の金融規制の枠組みが新技術に追い付いていないと述べ、FRB内に課題を検証する作業部会を設けたと説明。各国当局と国際的に連携する重要性を訴える一方で、規制の在り方は慎重に判断すべきだとも語った。
(2019/7/11 05:00)