[ オピニオン ]
(2019/8/2 05:00)
参院選で「れいわ新選組」から立候補し、初当選した重度の障がいを持つ2議員の国会活動に対応するため、参院本会議場の改修が行われた。重度障がい者の国政進出を受け、障がいの程度にとらわれない障がい者の就労機会の拡大を期待したい。
政府がまとめた2019年版の「障害者白書」によると、18年6月1日時点の民間企業による障がい者雇用者数は前年同日比3万8974人増の53万4769人。15年連続で過去最多を更新し、障がい者雇用が順調に進んでいるように見える。ただ、企業が雇用した障がい者の割合は2・05%で、現行の法定雇用率2・2%に達していない。
法定雇用率は21年4月までに0・1%引き上げることが決定している。そこで大企業を中心に障がい者雇用の受け皿となる特例子会社の設立が相次いでいる。ただ、特例子会社を通じて清掃や事務など親会社の下請け的な業務をこなすなど、法定雇用率を達成するのが主目的となっている実態も見え隠れする。
こうした状況から障がい者を真の戦力としてとらえ、雇用を拡大することで企業や地域を活性化しようとする動きが出てきた。7月に障がい者の雇用や就労を支援するD&I(東京都千代田区)と慶応義塾大学が共催で障がい者雇用に関するセミナーを開催し、企業や行政などの関係者が多数参加した。
同大の中島隆信教授は特例子会社を通じた障がい者雇用のグループ適用をやめ、「本業での雇用を増やすべきだ」と指摘。その上で個人の能力に見合った仕事や就労機会の創出を求めた。それを実現できる手段がテレワークによる在宅就業だ。
D&Iはテレワークの仕組みを整え、障がい者雇用の支援サービスを手がけている。5月に石川県加賀市と連携協定を結び、都内の企業と市内在住の障がい者の就労マッチングを図る計画。杉本大祐社長は「今まで働けなかった障がい者が納税者になれる」と語る。IT技術の活用で外出が困難な人でも就労できるだけに、企業も働き方改革の一環として、障がい者雇用にもっと目を向けるべきだ。
(2019/8/2 05:00)
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