[ オピニオン ]

社説/中小企業の新卒採用 選ばれる企業に脱皮を

(2019/8/5 05:00)

売り手市場といわれる中で、多くの中小企業は新卒採用に苦慮している。採用活動の早期化・長期化が定着し、中小企業にとって新卒採用にかける時間、費用などの負担が大きくなっている。これまで以上に入念な採用戦略の立案とともに、この機会に、中小企業は自社の魅力について再考し、選ばれる企業へと脱皮を目指したい。

2021年度から経団連の就活ルールが廃止され、実質的に採用方法が自由になる。学生の大手志向は依然強く、大企業に有利な採用環境が続くとみられている。会社が成長するために必要な人材の確保に向けて、中小企業は改革に本気で取り組まなければならない。

まず、中小トップから経営ビジョンを明確に発信することだ。意外だが「大手が安泰とは限らない」「できれば、やりたい仕事に就きたい」という気持ちを秘めている学生は少なくないという。こうした学生たちにこそ、中小トップの本気の声を届けたい。

名古屋市の熱機器メーカーで採用担当の責任者を務める女性は、トップの言葉が入社の動機付けになった。就職説明会で知った「会社を肥大化させるつもりはない」という社長の言葉に「良いことを言っているな」と感じたという。関東地方出身の彼女は就職のために名古屋に赴任。現在は係長の肩書が付き、採用活動に奔走する。

ほかに、外国人留学生の採用など人材の多様化を図るのも一考だ。外国人留学生が日本企業に就職を希望しても、日本語の就職サイトが読めなかったなどの理由で断念することが多いのが現状だ。「優秀な留学生が就職できていなかった」と、外国人留学生の就職活動を支援を行うHarmony For(名古屋市西区)の塚本将弘社長はいう。それでも日本語、英語、母国語が話せる人材に魅力を感じ、留学生を求める需要は着実に増えている。

中小企業は新卒採用難が続くと、事業継続に影響を与えかねない。中小企業の強みである意思決定の早さ、経営の柔軟性を人材獲得でも発揮するべきだ。

(2019/8/5 05:00)

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