[ オピニオン ]
(2019/8/28 05:00)
夏休みの末から子どもの自殺が急増する。国の自殺総合対策推進センター(東京都小平市)の調査によると、多くの地域で新学期が始まる9月初めがピークになる。
不登校問題に詳しい心理カウンセラーの武藤収さんは「一人でも寄り添ってくれる理解者がいれば子どもは救われる。ネガティブはネガティブのままでいい。ネガティブをポジティブと考えられれば開き直れる」と保護者に訴える。
肝心なのはSOSを見逃さないこと。朝起きるのがつらそう、食欲がない、友達と遊ばなくなった、何度も同じ動作や行動を繰り返すなどの兆候がみられたら注意が要る。
企業も従業員だけでなく家族のメンタルヘルス対策を後押ししたい。「誰一人置き去りにしない」―。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の基本理念は、身近な心の迷い子にも当てはまるはずだ。
「自殺するより、もうちょっとだけ待っていてほしいの。(中略)あなたを必要としてくれる人や物が見つかるから。だって、世の中に必要のない人間なんていないんだから」(『不登校新聞』ウェブサイトより)。自閉傾向が強く学校に行かない日もあったという女優の故樹木希林さん。子どもたちに発したメッセージをかみしめたい。
(2019/8/28 05:00)