(2019/9/27 05:00)
韓国人旅行者が急減している。政府観光局によると、8月の訪日旅行者は前年同月比48・0%減の30万8700人。これは東日本大震災直後以来の落ち込みという。
特に九州が顕著だ。首都圏と比べて距離が近く団体客も多いことから、各県の観光地に影響を与えている。「韓国人宿泊客はほぼゼロ」と嘆く経営者もいるほどだ。博多など都市部だけでなく、別府や湯布院、阿蘇といった有名観光地からも、まさに湯けむりのように消えた印象だ。
両国の対立が深刻化する今年春ごろまでは韓国人旅行者があふれていた。九州だけではない。山口県などの中国地方でも温泉やゴルフ場が人気だった。影響は韓国のプロ野球球団にも及ぶ。宮崎県や沖縄県での秋季キャンプ中止を決めるなど「嫌日」一色の様相だ。
九州は古来、朝鮮半島との結びつきが強い。室町時代には朝鮮通信使が対馬や博多を経由して幕府と交流している。不幸な歴史があっても、文化や草の根交流を通じて連綿と苦難を乗り越えてきた。
隣国であり、世界有数の経済大国へと成長した両国が、未来志向とは名ばかりに無視や中傷を繰り返す姿は見苦しい。恩讐の彼方にこそ発展があると考え、お互いが歩み寄る道を探れないものか。
(2019/9/27 05:00)