(2019/10/17 05:00)
情報通信技術を活用し、国や地方自治体が行政手続きの利便性向上や行政運営の簡素化・効率化を図る取り組みが本格化してきた。5月31日に公布されたデジタル手続法のうち、改正後の行政手続オンライン化法に関する部分は年内に施行し、同法に基づく情報システム整備計画も年内に策定される見通しで、2020年度以降、行政手続きのオンライン化が本格化する。
中小企業に関わる行政手続きのデジタル化では、添付書類の省略による事業者側の利便性向上が期待できる。例えば、中小企業向けの退職金共済制度では、雇い主が機構に掛け金を払い込んでいる。このうち特定業種の共済制度については、雇い主が共済証紙を購入し、退職金共済手帳に貼付して掛け金を納付する必要がある。電子申請もできず、建設業界から改善要望が挙がっていた。
これを受け中小企業退職金共済法が改正され、特定業種についても被用者の就労実績を電子的に報告する場合は、掛け金を現金で納付できるようになる。
デジタルなどのテクノロジーを行政で活用することは、「GovTech(ガブテック)」と呼ばれる。Government(ガバメント)とTechnology(技術)を合わせた造語だ。中央省庁だけでなく、全国の自治体もデジタル技術を活用した住民向けサービスに取り組み始めた。福岡市は対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」で粗大ゴミの収集申し込みや、引っ越しの際に必要な手続きを質問できる仕組みを構築。千葉県市川市は住民票の申請手続きをLINEで行える実証実験を進めている。
ガブテックを推進する上で、導入や運用にかかるコストを抑えるために、民間技術を導入することも重要になる。特に創業間もないスタートアップやベンチャーなどと行政が手を組むことは、産業振興にもつながる。
中央省庁や自治体の職員と話をすると「人手が足りない」という声をあちこちで聞く。行政サービスのデジタル化は利便性向上や行政の効率化のみならず人手不足対策にもなるはずだ。
(2019/10/17 05:00)
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