(2019/10/23 05:00)
日中印や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉が、最終局面に入った。12日にタイで開催した閣僚会合では一定の進展がみられ、約20の交渉分野のうち計18分野で合意に達した。ただ今後は最難関の関税交渉が控えており、11月初旬の実質妥結に向けてヤマ場を迎える。自由貿易を推進する日本政府は、さらなるリーダーシップを発揮し合意を促す必要がある。
RCEP交渉は2013年にスタートした。妥結すれば人口で世界の5割、国内総生産(GDP)で3割をカバーする広域経済圏が誕生する。アジア各国の関税撤廃率が高まり、知的財産権保護などの輸出環境が改善すれば、日本企業の恩恵は計り知れない。自動車や産業機械、素材などモノづくり関連の企業は妥結を視野に入れ、輸出拡大に向けた戦略を準備してもらいたい。
閣僚会合では新たに8分野で交渉が決着し、大きな前進がみられた。11月初旬に再び閣僚会合を開いて大詰めの交渉を行い、その後の首脳会合で妥結を目指すとみられるが、まだ各国の足並みがそろったわけではない。最も重要な関税の撤廃・引き下げの項目については、2国間交渉において厳しいやりとりが待ち受ける。
中でもインドは大幅な関税撤廃に難色を示している。18年度の貿易赤字約1800億ドル(約19兆円)のうち、対中国が4割程度を占める。インド政府は人口約13億人の富を中国に奪われ、自国産業の芽を摘まれるとの思いが強い。関税を撤廃すれば輸入増に拍車がかかると警戒しており、日本や豪州などの説得に応じていない。
ただ、合意を優先して各国に配慮した内容になれば、自由貿易の恩恵が乏しくなるだけでなく、世界に蔓延(まんえん)する保護主義の防波堤としての役割も期待できなくなる。RCEPを主導する日本としては、自由化率の高い枠組みを訴え続けるべきだ。6年超を要した交渉が終盤を迎える中、日本の役割があらためて問われている。
(2019/10/23 05:00)
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