(2019/11/18 05:00)
コンビニの24時間営業が大幅に見直される。人手不足のなかで経営する店主の疲弊を見れば改善は当然だ。ただ、コンビニは地域のインフラとして欠かせない役割を担っている面もある。利用者が困らないような仕組み作りにも配慮が必要だ。
ファミリーマートは、加盟店オーナーが希望すれば営業時間を短縮できる時短営業を認めると発表した。閉店時間は午後11時から翌日午前7時までの間で加盟店が設定でき、本部への同意も原則として求めない。2020年3月から実施する。
業界トップのセブン―イレブン・ジャパンも時短実験を実施するなど事実上の時短営業を認めている。ローソンもすでに時短営業を行う店があり、その数は増加傾向にある。
コンビニの24時間経営が困難になる背景には、人手不足で働き手の確保が厳しくなっていることと、同一地域でライバル店を含めた多店舗が立地する過当競争が起こり、売り上げや利益の確保ができなくなっていることが大きい。
ファミリーマートの沢田貴司社長が「加盟店ファーストであり、加盟店の意向に我々が合わせる」と、本部の経営悪化を招いても、加盟店の健全経営を優先させる決断をしたことは評価できる。
ただ、コンビニは自治体などと災害協定を結び、災害時に物資や情報提供の拠点となっている。高齢者にとって身近な買い物ができる場所であり、深夜帰宅の働き手にとっては、貴重な食料調達の場ともなっている。地域の重要インフラの一つと言ってもいい存在である。
災害時には本部の協力を得て店舗を開ける努力はしてもらいたい。また、平常時も閉店時間を利用者に周知することが大切だ。同一地域のコンビニが協力して、輪番で夜間営業をする仕組みや無人営業なども検討していくべきだろう。
「あなたと、コンビに」「マチのほっとステーション」―コンビニが掲げる利用者とのきずなを絶やすことなく、加盟店の疲弊を軽減する道を探ってもらいたい。
(2019/11/18 05:00)