(2019/11/15 05:00)
日本経済は緩やかな回復を続け、プラス成長を維持したが、力強さに乏しく、世界経済の不透明感も手伝って先行きには警戒感が欠かせない。
内閣府が14日発表した2019年7―9月期の実質国内総生産(GDP)1次速報値は、前期比0・1%増、年率換算で0・2%増と4四半期連続のプラス成長を記録した。しかし小幅な上げにとどまり、力強さに欠けるものとなった。
項目別にみると、個人消費は同0・4%増。10月1日の消費増税を控え、家電製品、自動車、宝飾品といった高額商品に駆け込み需要が発生したが、10連休効果があった4―6月期の反動減や韓国からの訪日観光客の急減で伸び率は鈍化した。設備投資は同0・9%増と2期連続のプラス。住宅投資も同1・4%増となり、内需が成長を支えた。
一方の外需は、このところ減少が続いていた輸出に下げ止まり感が出てきたものの、日韓関係悪化の影響でサービス輸出が落ち込み、輸出は同0・7%減となった。加えて輸入が小幅ながら増加したため、外需寄与度はマイナスで、GDP成長率を低下させる結果となった。
10―12月期を展望すると、個人消費は消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が避けられないほか、台風や大雨などの自然災害で消費と生産が冷え込む見通し。このためGDPは、5四半期ぶりのマイナス成長となる可能性が大きい。企業収益は堅調だが、電機、機械、自動車など輸出依存度の高い製造業を中心に、米中貿易摩擦の影響で収益悪化を懸念する声が強い。
安倍晋三首相は大規模な災害対策や景気下支えのための追加の経済対策策定と19年度補正予算の編成を指示した。災害被害への早期の復旧へ手厚い配分が行われるが、投資の環境整備や新産業の育成など、次の成長への中長期的な施策にも目配りが必要だ。
企業は成長の鈍化を見通すが、その中でも賃上げや投資の促進への意欲を維持してもらいたい。それが内需下支えと成長率押し上げにつながる。
(2019/11/15 05:00)
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