(2020/1/8 05:00)
設計事務所やゼネコンが顧客ターゲット
「東日本大震災以前の状況に戻すのが目標ではない。いかに持続可能な企業になるかが目標だ」と語るのは、福島県浪江町で木毛セメント板の製造販売を行う日化ボードの朝田英信会長だ。
同社が主力とする木毛セメント板は、体育館や公会堂、スポーツ施設などに使用される屋根材の下地となる内装材で、木材、セメント粉、水のみを材料とするため環境に優しく、強度も高い。
東日本大震災以降は、付加価値の高い製品の生産を目指し、より耐火性能の高い不燃材料認定を取得した不燃木毛セメント板販売に力を入れてきた。東京オリンピックの開催を控え、東京都内などでは建築物の内装制限が厳しくなったことが追い風となり「ここ数年で不燃木毛セメント板の需要は増えつつある」(朝田会長)が、課題も多い。2万人以上いた浪江町の人口減少により慢性的な人手不足であることに加え、製品に必要な材料も地元で入手するのは困難な状況だ。
それでも「我々は自立し、努力しなくてはいけない」と朝田会長は前を向く。屋根の主流はスレートや金属板だが、近年、安価で工期が短いシート防水屋根が注目されていることに着目し、シート防水屋根用の下地材料を開発。屋根耐火30分の試験に合格した。
設計事務所やゼネコンをターゲットに、新たな素材として用途の拡大を図っていく考えだ。「まだまだ復興には時間がかかる」(同)としながらも「小ヒットを連発するアイデア」(同)を蓄積することが同社の企業活動を支える重要なキーポイントとなっている。
日化ボード株式会社
連載#12
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(2020/1/8 05:00)