(2020/3/13 05:00)
ひと雨ごとに春めく日々。東京の桜は、この週末にも開花宣言がありそうだ。過去最速は2002年と13年の3月16日で、更新する可能性がある。
かつて入学式の風物詩だった満開の桜も、いまや卒業シーズンの定番となった。しかし今年は新型コロナウイルスに伴う臨時休校。子どもたちは晴れの門出ではなく、社会の異様な混乱を記憶するだろう。新型コロナの流行には収束が見えず、会合や外出の自粛も続きそうだ。
リーマン・ショックによる底の見えない信用収縮が世界を脅かしていた頃。経済財政担当相だった与謝野馨さんは「80年前(の世界恐慌)は、世界は何が起きているかを分かっていなかった。しかし各国政府は今、危機の縁に立っていることを理解して行動している」と話した。
ウイルス対策にも通じる見方ではないか。全容が見えない中で万全を期すことはできない。それでも各国は情報を共有しつつ、実現可能な手を打っている。医療関係者をはじめとした努力を貴く思う。
本格的な春の行楽シーズンを迎えても人出は少ない。今年の花見は、いつになく寂しいものになるのだろう。桜花の舞う下に子どもたちの笑顔が見られる日の来ることを、読者諸兄姉とともに祈りたい。
(2020/3/13 05:00)