(2020/3/12 05:00)
選抜高校野球の中止が決まった。あこがれの甲子園での試合を夢見ていた球児たちの気持ちを思うと胸が痛む。主催者も開催の可能性を探っていただろうが「やるなら無観客試合で」という言い方が、かえって期待を持たせてしまった。
甲子園断念で嘆いているのは、球児たちだけではない。高校1、2学年の学生が学校単位で、理科や数学、情報の知識や実験の実技を競う「科学の甲子園全国大会」(主催科学技術振興機構=JST)も中止となった。
科学の甲子園は、未来の科学者育成を目指して創設されたもので、今回で9回目。ゲストにはノーベル化学賞受賞者の吉野彰さんが登場し、埼玉県立浦和高等学校、愛知県の海陽中等教育学校など歴代優勝校4チームが出場するなど話題の多い大会となるはずだった。
中止が決まった後にも、JSTには選手たちから「夏に延期できないのでしょうか」といった熱意ある要望が寄せられたという。
新型コロナウイルスの感染拡大阻止へ、さまざまな試合や大会が中止を余儀なくされている。甲子園を目指した学生たちだけでなく、参加へ努力を重ねてきた多くの人たちがたくさんいる。人が集まれないことの悔しさを、みんなで分かち合いたい。
(2020/3/12 05:00)