(2020/3/17 05:00)
日米の通貨当局が緊急会合で追加の金融緩和を決めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響縮小を意図した異例の措置。動揺する金融市場の安定化や世界経済の先行き不安感払拭(ふっしょく)へ、各国の協調姿勢が問われている。
日銀は16日、18―19日に予定していた金融政策決定会合を前倒しで開催し、ETF(上場投資信託)の年間買い入れ額目標を、現在の6兆円から12兆円に拡大する金融緩和策を決めた。また、企業の資金繰り支援へ、最長1年の資金を金利ゼロ%で供給する新たなオペレーションを導入した。一方で、マイナス金利の深掘りは見送った。
先進7カ国(G7)の財務相は3日に電話会談を行い、金融市場の安定に向けて協力する旨の共同声明を発表した。同日、FRB(米連邦準備制度理事会)が0・5%の利下げを実施したほか、欧州中央銀行(ECB)も金融緩和を打ち出すなど、金融政策でも国際協調の動きが進んでいた。
さらに、FRBは15日に臨時のFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、政策金利を1%引き下げて実質的なゼロ金利政策を導入した。加えて国債購入などで市場に大量の資金を供給する量的金融緩和の再開に踏み切った。
黒田東彦日銀総裁は追加の緩和策について「世界的な協調の枠組みの中で行われた」と説明した。世界の金融当局と連携して経済危機に立ち向かう姿勢は示せた。
ただ、16日の東京株式市場は4日続落となり、市場の反応は厳しいまま。黒田総裁は「経済や物価に下押し圧力が出れば追加緩和措置も講じる」方針だが、金融政策だけでなく、政府が検討する景気対策などあらゆる政策を総動員する必要がある。
そもそも危機の元凶であるウイルス感染の収束が見通せないなかでは、金融・経済政策も焼け石に水となりかねない。主要国首脳が一番に取り組むべきは、感染の封じ込めへ一致協力して取り組む姿勢を見せることだ。世界を覆う“見えない”不安を取り除いてもらいたい。
(2020/3/17 05:00)
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