(2020/3/20 05:00)
埼玉県内で新型コロナウイルス感染拡大による影響が広がっている。県内企業を対象にした各調査では、2月以降から新型コロナの影響を不安視する声が上がってきたという。同県では現状を把握するため、経済団体との意見交換を実施。大野元裕埼玉県知事は「よりスピーディーな対応をしたい」と強調する。(さいたま・阿部未沙子)
ぶぎん地域経済研究所(さいたま市大宮区)が2月上旬に行った「埼玉県内企業の2020年度景気見通し調査」によると、20年度の国内景気見通しを「後退」と回答した企業が全体の40・3%を占めた。後退要因としては「消費の低迷」が65・4%で最多。ほかにも、「特に精密機械などの製造業から、新型コロナ感染拡大が経済活動に与える影響への懸念が示された」(同研究所調査事業部)という。
会員企業185社を対象に、埼玉県商工会議所連合会(さいたま市大宮区)がまとめた「新型コロナウイルス感染症による県内企業への影響等に関する調査」では、54%の企業が「すでに影響が出ている」とし、26%の企業が「今後影響が出ると思う」と回答。必要な支援策としては「融資」が32%、「返済の猶予」が15%と続いた。
このほか、関東財務局がまとめた県内企業を対象とする法人企業景気予測調査によると、1―3月期での中堅・中小企業の景況は「下降」超幅が拡大。製造業では主に自動車・同付属部品製造業が、非製造業では運輸、郵便、卸売業が「下降」に大きく寄与した。具体的には、卸売業から「市況の悪化に加え、新型コロナの影響で中国に所在する店舗の稼働率が低下している」との声があったという。
地域経済への影響が深刻化する中、埼玉県では、「新型コロナウイルスに係る経済団体等との意見交換」を開いた。大野元裕埼玉県知事のほか、経済団体からは池田一義埼玉県商工会議所連合会会長ら8人が出席。意見交換の場で経済団体は、融資制度などを活用する際の手続きの簡素化や、過剰な自粛ムードへの対応、経営・資金繰り相談窓口の迅速な対応のほか、マスクと消毒液を緊急度の高い施設へ優先的に配布するなどを要望した。
要望を受けた大野知事は「(制度融資について)よりスピーディーな対応を希望する声があるならば、手続きなどをもう一度精査して検討したい」と応じた。
県は18日に、新型コロナウイルス関連予算を盛り込んだ19年度と20年度の補正予算案を公表、合計で30億円程度を計上した。負の影響の拡大抑制に力を注ぐ。
(2020/3/20 05:00)
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