(2020/4/15 05:00)
政府が求める出勤者の7割減は、中小企業にとって極めて難しい。しかし社員の安全には代えられない。経営者はあらゆる対策を講じ、感染リスクの軽減に努力すべきだ。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出され、安倍晋三首相は対象7都府県の全企業に、「オフィスでの仕事は原則自宅で行えるようにし、どうしても出勤が必要な場合も、出勤者を最低7割は減らす」という対応を求めた。
すでに大企業は大規模な在宅勤務へと移行しつつあるが、中小企業の対応は遅れている。東京商工会議所が会員企業に実施した調査によると、テレワークを実施する企業は26・0%、実施検討中が19・5%。残る54・4%は「実施予定なし」だった。実施企業でも社員の何割が実施しているかは不明で、政府が求める出社7割低減にはほど遠い状況となっている。
「テレワーク可能な業務がない」という回答が半数近くあり、次いで「社内体制が整っていない」「パソコン等の機器や通信環境が十分でない」ができない理由にあがった。
厳しい状況であるのは確かだ。ただ、経営者が今、はかりにかけるべきは、社員の安全ではないか。「社員が感染するリスクを負ってまで、現時点でやらなければならない仕事とは何か」である。事業継続を考えても、ひとたび一人でも感染者が出れば、同じ部屋で執務する社員は有無を言わさず出勤停止となる恐れもある。
出社する社員を一気に減らせなくても、何割かを日替わりで自宅待機にしたり、感染で重症化リスクの高い高齢者や、妊婦に特段の配慮をするなど、個々の状況に応じてとれる限りの対応は考えていくべきだ。最も効果が高いのは、経営層が率先して在宅勤務に取り組むことだ。現時点では困難でも在宅勤務の体制整備は、事業継続の有力手段であり投資する価値があることも考慮すべきだろう。
感染拡大を抑え込むことが最優先で求められている。経営者はあきらめずにやれることを考えてもらいたい。
(2020/4/15 05:00)
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