社説/マイナス4.5%成長の衝撃 景気回復へ、感染第2波対応急げ

(2020/7/31 05:00)

景気の回復は、新型コロナウイルス感染症の収束が大前提だ。感染第2波の到来を認識し、早急に対策を講じるべきだ。

内閣府は30日の経済財政諮問会議で、今後の経済運営の前提となる2020年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通しが、マイナス4・5%になるとの試算を示した。リーマン・ショック時の08年度のマイナス3・4%より大きな悪化幅で衝撃的な数値だ。

新型コロナの世界的流行の収束が見通せず、内需・外需ともに急激に縮減するためだ。政府は7―9月期以降は徐々に回復に向かうと想定するが、秋に世界で感染第2波が起きれば、マイナス5%に下振れする可能性もあると見ている。

想定外なのは、5月に一時抑え込んだ新規感染者数が、急拡大していることだ。政府は第2波の到来を率直に認め、感染状況の把握と医療体制の充実に早急に取り組まねばならない。

今春のような生活や経済活動の大幅な制限はすべきではない。感染のクラスターやエピセンター(震源地)となっている地域での、大規模な検査の実施と、感染対策に取り組まない店舗への指導徹底など、ピンポイントの対策を着実に講じてもらいたい。保健所や医療現場の逼迫(ひっぱく)も目前まで来ている。早急な手当が必要だ。

コロナ禍の影響は、企業業績にも大きな影を落とす。日産自動車の21年3月期の連結当期損益予想は6700億円の赤字、JR東日本は4―6月期だけで連結当期損益が1553億円の赤字となるなど、幅広い業種で悲鳴が上がる。国の税収減少にも直結する事態だ。

内閣府は同時に、21年度の実質GDPがプラス3・4%に回復するとの見通しも示した。この時期に次年度の見通しを公表するのは異例だが、個人消費や企業活動のマインド落ち込みを防ぐ意図があるのだろう。

ただ、経済の本格的な回復には、世界規模の感染収束が必要だ。世界で感染第2波が発生すれば回復は遠のく。

ウィズコロナをどう生き抜くのか。政府の機敏な経済政策への対応が問われている。

(2020/7/31 05:00)

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